World Relations
中国 × 台湾
日清戦争後の割譲 → 国共内戦 → 国連代表権交代 → 戦略的曖昧と現状維持
1895 年下関条約で清朝が台湾を日本に割譲、1945 年の終戦で中華民国が接収、1949 年の国共内戦で中華民国政府が台湾に移転して現在まで実効支配を継続している。1971 年国連総会決議 2758 号で「中国代表」の地位は中華人民共和国に移り、中華民国は国連を脱退。中国(北京)は「一つの中国」原則のもと台湾を中国の一部と位置づけ、台湾(中華民国)は事実上の独立国家として存続。米国は 1979 年の米中国交正常化と同時に「台湾関係法」を制定し、戦略的曖昧政策を維持。日本は 1972 年に北京と国交を樹立し台北とは断交したものの、実務関係を維持している。
時系列でたどる
1895-04外交 下関条約 — 清朝が台湾を日本に割譲
日清戦争の講和条約として下関で調印(伊藤博文・陸奥宗光と李鴻章)。清朝は朝鮮の独立を承認し、遼東半島・台湾・澎湖諸島を日本に割譲、賠償金 2 億両を支払うことで合意。以後 50 年にわたり台湾は日本統治下に置かれる。
1945-08政策 日本の敗戦・台湾光復
ポツダム宣言受諾により日本は降伏。連合国の一般命令第 1 号に基づき、台湾は中華民国(蒋介石率いる国民政府)が接収することとなる。10 月 25 日に台北公会堂で日本軍降伏式典が行われ、中華民国が台湾省行政長官公署を設置して統治を開始。中華民国側はこの日を「台湾光復節」と呼ぶ。
1947-02事件 二・二八事件
国民党政権による接収後の汚職・物資不足・本省人と外省人の対立が積み重なり、闇タバコ取締りをきっかけに台北で大規模衝突が発生。国民党軍が大陸から派兵して武力鎮圧。死者数は推定 1〜3 万人とも言われ、現在も台湾政治の傷として残る。長期にわたり戒厳令下で公式の調査がなされず、1990 年代以降に名誉回復措置が進められた。
1949-10国内政変 中華人民共和国 建国宣言
国共内戦に勝利した中国共産党が北京で中華人民共和国の成立を宣言(毛沢東主席)。一方、敗退した国民党率いる中華民国政府は同年 12 月に首都機能を台北に移転し、台湾を「中華民国の臨時首都」と位置付けて以後の統治を継続。
1949-05政策 台湾省戒厳令の施行(〜1987-07)
中華民国政府は共産党軍の侵攻に備え、台湾省全域に戒厳令を布告。以後 38 年間にわたり言論・集会・結社の自由が制限される「白色テロ」期が続く。1987 年に蒋経国総統が解除するまで、世界最長級の戒厳令だった。
1952-04外交 日華平和条約締結
サンフランシスコ講和条約発効と同日、日本は台北の中華民国政府との間で日華平和条約に調印し、戦争状態を終結。1972 年の日中国交正常化に伴い同条約は失効。
1954-12外交 米華相互防衛条約 締結
米国(アイゼンハワー政権)と中華民国が相互防衛条約に調印。以後 1979 年に米中国交正常化に伴って条約が破棄されるまで、米国は台湾防衛にコミットする立場を明示していた。
1971-10外交 国連総会決議 2758 号 — 中華人民共和国を中国代表に
国連総会で、中華人民共和国政府を「中国の唯一の合法代表」と認め、中華民国(台湾)の代表を国連から排除する決議が採択(賛成 76・反対 35・棄権 17)。中華民国はこれに先立ち国連を脱退。中国(北京)はこの決議を「一つの中国」原則の国際的根拠と位置づける一方、台湾の地位そのものには言及していないとの解釈もある。
1972-09外交 日中国交正常化・日台断交
田中角栄首相が訪中し、毛沢東主席・周恩来首相と会談。日中共同声明を発表し、日本は「中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であること」を承認。台湾については「中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重する」と表明。日華平和条約は失効し、台湾とは断交。実務関係は民間機関(後の日本台湾交流協会・台湾日本関係協会)が維持する形となる。
1979-01外交 米中国交正常化・米華相互防衛条約終了
鄧小平の訪米とカーター大統領との合意により、米国は中華民国と断交し、北京政府を承認。米華相互防衛条約は同年末で失効。一方、米議会は同年 4 月に「台湾関係法(Taiwan Relations Act)」を制定し、台湾への防御的武器供与と関係維持を国内法で担保した。
1979-04政策 米国「台湾関係法」制定
米中国交正常化に伴い、台湾との非公式関係を国内法で支える台湾関係法(TRA)が成立。台湾への防御的武器供与、台湾に対する非平和的手段への重大な懸念表明、米国の在台湾協会(AIT)の設置などを定める。米国の対台湾政策の制度的基盤として現在まで機能。
1987-07国内政変 台湾の戒厳令解除
蒋経国総統が 38 年間続いた戒厳令を解除。野党結成・新聞発行・集会の自由が段階的に認められ、台湾は民主化への道を歩み始める。翌 1988 年に蒋経国が死去し、副総統の李登輝(本省人で初)が後を継ぐ。
1992-10外交 「九二共識(92 コンセンサス)」
中国側の海峡両岸関係協会と台湾側の海峡交流基金会が香港で協議し、「一つの中国」原則を口頭で確認したとされる合意。ただし、中国側は「双方とも一つの中国を堅持する」と解釈、台湾側は「双方とも一つの中国を堅持しつつ、その意味の解釈は各自で異なることを認める(一中各表)」と解釈し、内容に齟齬がある。「九二共識」という用語自体は 2000 年に台湾の蘇起・大陸委員会主任委員が事後的に命名。
1995-06外交 李登輝総統の訪米(コーネル大学講演)
李登輝総統が母校コーネル大学に「台湾の民主化経験」をテーマに講演のため訪米。中国は「現職総統の訪米」を強く反発し、第三次台湾海峡危機の引き金となる。
1995-07戦争・武力衝突 第三次台湾海峡危機 開始(〜1996-03)
中国人民解放軍が台湾近海でミサイル発射を含む軍事演習を繰り返す。1996 年 3 月の台湾初の総統直接選挙の前にも基隆・高雄沖にミサイルを発射。米国は空母 2 隻(ニミッツとインディペンデンス)を派遣し、ニミッツ空母戦闘群が台湾海峡を通過。緊張は選挙後に沈静化し、李登輝が初の民選総統に当選。
2000-03国内政変 民進党・陳水扁が初の政権交代
民主進歩党(民進党)の陳水扁が国民党候補を破り総統に当選。1949 年以来初めての政権交代となる。陳政権は台湾アイデンティティを重視し、中国側は「九二共識」拒否と受け止めて関係が冷却化。
2008-05外交 国民党・馬英九政権発足、両岸関係改善
国民党の馬英九が総統に当選。「九二共識」を承認する立場を取り、中国との直行便就航・観光客受け入れ・経済枠組み協定(ECFA、2010 年)など両岸関係が大幅に改善。任期中に中台首脳会談(2015 年シンガポール、馬英九・習近平)が実現。
2016-05国内政変 民進党・蔡英文政権発足
民進党の蔡英文が初の女性総統に就任。「九二共識」を明示的に受け入れず、中国は両岸交流の公式チャネルを停止。蔡政権は「四不一沒有(独立宣言・国号変更等を行わない)」の慎重な姿勢を維持しつつ、対米関係強化と防衛力増強を進める。
2021-12外交 安倍元首相「台湾有事は日本有事」発言
故・安倍晋三元首相が台湾のシンクタンク主催のオンライン講演で「台湾有事は日本有事、すなわち日米同盟の有事でもある」と発言。中国外務省は「中国内政への乱暴な干渉」と強く反発した。日本政府の公式見解ではなく、安倍氏個人の見解として位置付けられた。
2022-08-02戦争・武力衝突 ペロシ米下院議長の訪台
ナンシー・ペロシ米下院議長(当時)が訪台。立法院などで蔡英文総統と会談。中国は強く反発し、訪問直後の 8 月 4 日から台湾を取り囲む形で大規模な軍事演習を実施。中国軍は台湾周辺の 6 海域で演習を行い、9 発の弾道ミサイルを発射、うち 5 発が日本の排他的経済水域内に落下した(日本の EEZ 内への中国弾道ミサイル落下は初めて)。
2024-01-13国内政変 台湾総統選挙 — 民進党・頼清徳が当選
民進党の頼清徳・副総統(当時)と蕭美琴・元駐米代表のペアが約 558 万票(得票率 40.05%)で当選。民進党としては初の 3 期連続の政権獲得となる。一方、立法院(議会)は国民党が第 1 党となり、ねじれ国会となる。
2024-05-20国内政変 頼清徳総統 就任
頼清徳が総統に就任し、就任演説で「中華民国と中華人民共和国は互いに隷属しない」と発言。中国側は「分裂の謬論」「台湾独立の自白」と強く反発。中国人民解放軍東部戦区は 5 月 23〜24 日に台湾島周辺で軍事演習「連合利剣-2024A」を実施し、10 月にも「連合利剣-2024B」を実施した。
2026-05-09外交 中国李強首相「台湾問題はレッドライン」── トランプ訪中前に米側を牽制
5/14-15 の米中首脳会談を控え、中国の李強首相が「台湾問題はレッドラインで、絶対に越えさせない」と米側を牽制する発言。中国側は事前に「一つの中国」を米側に再確認させる構え。一方、米側はルビオ国務長官が「台湾は議題」「ただし台湾政策は変更せず」と発言し、現状維持の方針。米中の駆け引きが本格化。
2026-05-14外交 米中首脳会談 初日(北京)── トランプ・習会談スタート
トランプ大統領 9 年ぶり訪中。13 日夜に北京到着、14・15 の 2 日連続で習近平国家主席と会談。初日は人民大会堂、翌 15 日は天壇公園を共に視察する予定。議題は貿易・台湾問題・AI・農業・エネルギー・イラン情勢の 6 つ。ルビオ国務長官は事前に「台湾は議題、ただし台湾政策は変更せず」とバランス声明、中国側は「一つの中国」原則の確認を強く求める。米側にはイーロン・マスク氏など米企業トップ十数人が同行、ビジネス案件も論点に。習主席が年内ワシントン訪問予定であることも判明。
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